家族でも、幼なじみでもなくて。
ずっと好きだった
「……これが私の過去だよ」


話し終えた時には、空がオレンジ色に染まっていた。


「優衣の家庭はなんとなく複雑そうだなって感じてたけど、思ってたよりも複雑だった」

「うーん、まあね……」

「家には帰ってないの?」

「うん……昨日、突然お母さんから電話があったんだ」

「なんて?」

「一緒にアメリカに行こうって」

「え?」


私は知らなかったんだ。

おじさんが大企業の社長であることを。

アメリカに支店を置くから、しばらくはそっちで働くことも。

いつ帰ってこれるかわからないから、お母さんは私も一緒に行くようにと、少し前に連絡してきた。

それを断ったのに、昨日もう一度行こうと言われた。

一方的に電話を切っちゃったけど。


「そうなんだ。陸矢くんはアメリカに行くの?」

「知らない」

「そう、だよね」


別にりっくんがアメリカに行ったからって、私には関係ない……


「優衣?」

「あ、ごめん。話はこれで終わり。そろそろ帰ろう?」

「待って。最後に聞かせて。優衣は陸矢くんのこと、本当に嫌いなの?」


それは、私が1番知りたい……

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