家族でも、幼なじみでもなくて。
りっくんになんて話そう。

嫌いって言ってたのに、今更好きだなんて言えるはずない。


好きになるのやめるって言われちゃったし……

嘘なんてつかなければよかった。

自分の気持ちに正直になればよかった。


もう、好きって言ってくれないのかな?

都合のいい女だって思われるかもしれない。

りっくんに嫌われるかもしれない。


どうすればいいんだろう?



「……優衣!」

「な、なに!?」

「太一くんが呼んでるよ」


廊下を見ると、険しい顔をした太一くんが手招きしていた。


「どうしたの?」

「優衣。陸矢が……」

「りっくんがどうかしたの?」

「……転校した」

「え!?」


急に転校ってどうしちゃったの!?

もしかして……


「優衣?」

「……りっくん、アメリカに行ったのかな? 私もお母さんに一緒に行こうって言われたんだけど、断ったの」


そうか。りっくんは将来のこともあるし、行くしかなかったんだよね。


「今日の放課後、時間ある?」

「うん」

「愛海先輩と一緒にカフェに来て。話したいことがあるんだ」

「わかった」


頭の中はりっくんのことばかりで、その日は全く授業に集中できなかった。

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