家族でも、幼なじみでもなくて。
今までこらえてきたものが、どうしてこのタイミングで爆発したのかは自分でもわからない。

これでいいんだ。私は散々りっくんに迷惑をかけられてきた。だから、りっんくんも私の辛い気持ちを思い知ればいい。


「あんな家に居たくなかったから、中学の時、寮付きの女子校に通ったのに。高校だって、りっくんが入学できないようなところに入学したのに、どうしてそこまで私に構うの?」

「優衣ちゃんが好きだからだよ」

「そういうのやめて」

「本当だよ」

「嘘でも本当でも関係ない。私に近づかないで」

「優衣ちゃん……」


初めてみた。
りっくんの悲しそうな表情を。

私にどんなことを言われようといつも笑顔だったのに、どうして……?

こんな表情をさせたかったんじゃない。
でも、この際関係ない。
全部、りっくんが悪いんだから。


「ごめんね」

「今更謝っても遅いんだから!」


吐き捨てるようにそう言って、私は階段を駆け上がった。



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