家族でも、幼なじみでもなくて。
愛海先輩と合流して、優衣の家に向かう間、陸矢はずっとそわそわしていた。

どうしたんだろう?


「陸矢? 大丈夫か?」

「う、うん」

「ならいいけど」


……いや、全然良くなかった。


「太一も愛海ちゃんも聞いてて! 僕はもう優衣ちゃんの嫌がることは絶対にしません! ここに宣言します!」

「陸矢…」

「りっくん…?」


突然宣言とか、どうしちゃったんだ!?


「だから、僕は優衣ちゃんのこと…」

「陸矢! それくらいにしとけよ」


陸矢の様子がおかしい。

そう感じた時には遅かった。


「好きになるのやめる」


その言葉に、優衣の瞳が一瞬揺らいだのを俺は見逃さなかった。


「ってことだから、バイバイ」

「待って!」

「ん?」

「な、なんでもない」

「なーんだ。少し期待しちゃった」


そう言って陸矢は家を出た。

なにやってんだよ、あいつ……


「優衣?」

「愛海、太一くん、ごめん。1人になりたい」

「うん。あまり考えすぎないでね。また熱出ちゃうから」

「何かあったら連絡しろよ?」

「わかった。ありがとう」


また陸矢は優衣を泣かせたんだ。

許せない。


「優衣、大丈夫かな?」

「……きっと優衣なら大丈夫ですよ」

「そうだといいけど……あ、私こっちだから。またね!」

「はい。さようなら」


愛海先輩と別れた後、俺は陸矢のところへ急いだ。
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