家族でも、幼なじみでもなくて。
[優衣ちゃんへ

この手紙を読んでいるってことは、太一に聞いたのかな?
突然いなくなってごめんね。

僕はアメリカに行くことになりました。
父さんが社長だってことは知ってるよね?
いずれ僕も跡を継がないといけないから、その勉強のために父さんについて行きます。
優衣ちゃんはアメリカに行くことを断ったって、おばさんに聞きました。
そうだろうなっては思ってたけど。

許嫁の話も聞いたかな?
僕もすごく驚いたよ。
まだ会ったことはないんだけど、僕より1つ年上らしいです。優衣ちゃんと同い年。
写真見たけど、全然好みじゃないんだよなぁ。だって、僕にとって優衣ちゃんが1番だから!
あ、今、「また言ってる」って思ったでしょ?
本当のことだもん! 何度だって言うからね!

優衣ちゃんにちゃんと「さようなら」を伝えたかったけど、昔優衣ちゃんにも同じことをされたので、その仕返しです!

……なーんて、ね?
単純に、僕が寂しくなって泣いちゃうからだよ。
笑顔でお別れする自信なんてなかったから。
きっと太一も怒っているんだろうな……
優衣ちゃん、慰めておいてね?

最後に……
あの日公園で約束したこと、ずっと忘れてないよ。
絶対、優衣ちゃんのところに帰るから。
それまで待っていてくれたら嬉しいな。

嫌いでもいいから。
またいつか、僕に笑顔を見せてください。

これからもずっと大好きです。


市川 陸矢より]



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