家族でも、幼なじみでもなくて。
何も言わずに別れるって、こんなに辛かったんだ。

私はそれを昔りっくんに対してやってしまった。

……最低だ。


りっくんに会いたい。
謝りたい。
許してもらえなくてもいいから、ちゃんと伝えたい。


りっくんに連絡できなくても、あの人になら……


『……優衣?』

「お母さん。私もアメリカに行く」

『え? 突然どうしたの?』

「りっくんに会いたいの。許嫁の話、お母さんは知ってたんでしょ?」

『うん。私は昔から、陸矢くんと優衣の気持ちを知っていたから複雑だったけど、ずっと前から決まっていたことだし、私が口を出せることじゃないから、黙っていたの。ごめんね』

「……それはわかってる。でも、私はりっくんと約束したから。おじさんに交渉するんだ」

『それは無理よ』


可能性としては低いことなんて知ってる。

でも、諦めたくないよ。

今まで突き放してた私が、こんなことを言う資格なんてないけど。
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