家族でも、幼なじみでもなくて。
「そうだったのね」


近くのレストランで、愛莉さんのご両親と飛行機の席が隣だったこと、りっくんの話を聞いてもらったことを話した。


「雅人さんも納得していたから大丈夫だとは思うけど…これからどうする?」

「りっくんはどこにいるの?」

「今は学校に行っていると思う」

「そっか……」


その時、お母さんの携帯の着信音が鳴った。
雅人さん——おじさんからみたい。


「優衣に話したいことがあるって」


おじさんが、私に?
お母さんから携帯を受け取って少し緊張しながら耳にあてた。


「……お久しぶりです」

『優衣ちゃん、元気だった?』

「はい。あの、突然アメリカに来てしまって、婚約破棄…」

『その件に関してはもう大丈夫。優衣ちゃんが心配することはないよ』

「ごめんなさい」

『優衣ちゃんが謝ることじゃないよ』


優しいおじさんの声に少し安心する。
あまりおじさんと話した記憶がないから、こんな感じだったっけ?と不思議に思う。


『優衣ちゃん』

「は、はい」


おじさんの声色が突然変わって思わず背筋を伸ばす。


『陸矢と一緒になる覚悟はあるのかな?』

「はい。一度は離れてしまったけど、そのおかげで本当の気持ちに気づくことができました。これからはりっくんの隣で彼を支えていきます」

『その言葉を信じても良いんだね?』

「はい」


私の決意におじさんはフッとやさしく笑った。
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