家族でも、幼なじみでもなくて。
『……本当は2人の気持ちには気づいていたんだ』

「え?」

『許嫁のことは断ろうと思っていたんだ。
でも、愛莉さんが陸矢のことを気に入ってしまったみたいで、なかなか言い出せなくて……今回、優衣ちゃんを利用したような形になってしまって、本当にごめんね』

「謝らないでください。私は大丈夫です」


やっぱり、お母さんにもおじさんにもお見通しだったんだ。
少しだけ、恥ずかしい。


『明日、知り合いのパーティーに招待されているんだけど、優衣ちゃんも行かない?』

「え!? そんな急に…」

『知り合いには事情を説明しておくから安心して。陸矢には秘密だけどね』


パーティーだなんて……
庶民の私には絶対無理!


『カッコいい陸矢が見られると思うけど…』

「え…」


おじさんの言葉に思わず反応してしまった。


『あ、今見たいって思ったでしょ? じゃあ、決まりだね!』

「あの、参加するとは言ってな…」

『優衣ちゃんの社交界デビューだね! おじさん、楽しみにしてるよ〜』

「ちょっと…!!」

『美佳さんにもよろしく伝えておいてね』


……切れた。

なんかこの感じ、初めてじゃないんだけど。
さすが親子だ。

おじさんってすごい人なのに、実は子どもっぽい……?
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