家族でも、幼なじみでもなくて。
ガチャっとドアが開いて、父さんとおばさんが入ってきた。


「陸矢」

「優衣ちゃんを呼んだのは父さん?」

「アメリカに来たいと願ったのは優衣ちゃん自身。パーティーに呼んだのは父さんだけど」

「どうして…」

「許婚の話がなくなったのは、優衣ちゃんが愛莉さんのご両親と直接話したからだよ。優衣ちゃんはご両親だと知らずに話したみたいだけど、陸矢への想いがこのような結果になった。それを良いと捉えるのか、悪いと捉えるのかは陸矢次第だと思う」

「僕への、想い……?」


優衣ちゃんは僕のことなんて大嫌いなはずなのに……


「陸矢くんは、ずっと優衣のことを想ってくれていたのよね?」

「はい」

「それなら大丈夫。陸矢くんの想いは必ず届くよ」

「でも、今までずっと好きって言っても優衣ちゃんには届かなくて…」

「自分を信じて。陸矢くん」

「……わかりました」


最後のチャンスかもしれない。

神様は僕にもう一度想いを伝える機会を与えてくれたんだ。


「頑張れ。陸矢」

「うん」


……でも、これ以上優衣ちゃんに嫌われたくない。
そう思ってしまう自分がいて嫌になる。

今までの気持ちはなんだったんだろう?
僕の“好き”は嘘だったのかな?

そんなこと、考えたくないのに。
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