家族でも、幼なじみでもなくて。
「怖いの?」
「こ、怖くなんかっ…!」
それでも強がる私の首筋をりっくんは優しく撫でた。
驚きと気持ち悪さに声が出ない。
俯くことしかできない自分が嫌になる。
「優衣ちゃん?」
「…嫌い」
「え?」
「りっくんも自分も大嫌いだ!」
叫び声に驚いたりっくんが私の手を離したのと同時に、全速力で走った。
「優衣ちゃん! 待って!」
私の名前を呼ばないで。
声なんて聞きたくない。
これ以上近づかないでよ!