世界を旅する武芸少女
銭湯を出た遥は和食料理店で食事を取ることにした。何故、和食料理店で食べることにしたかというと、遥は和食が大好物であるからだ。特に刺身と天ぷらが大好物で鮭の刺身と芋と海老の天ぷらには目がない。

しかし、遥の国からかなり離れたところにあるダイトの国では和食料理店は超高級料理である。この辺では魚は取れないため、海辺で取れた魚を特殊な保存の仕方をして、サボンの町まで仕入れている為、滅茶苦茶高級な食事となっている。

遥の財布は大丈夫なのであろうか?と思うかもしれないが、遥はここに来るまで数々の悪党を捕まえたり殺している為、相当な額の報酬を手にしている為、お金には全く困らないのだ。

そして、この和食料理店はいかにも遥の国の建物の様に作られており、『和』を感じる。しかも、この手の料理店は個室で食べるお店の為、非常にのんびりとゆっくりと出来るのも魅力だ。

早速、遥は鮭の刺身を頬張る。

「うむ!美味しいぞ!この鮭の食感!品質!実に素晴らしい物があるでは無いか!私の国の鮭とほぼ同じ品質で、まさか他国でこの様な代物が食べられるとは思わなかったぞ!」

あまりの美味しさに興奮してしまい、独り言の声のボリュームが大きい遥。しかし、遥はそれに全く気にせずに食べる。

「この鮭の刺身を天ぷらにしたら、さぞ美味しかろうな〜。今度、海辺の町に行ったら試して見よう♪」

この時の遥はとても上機嫌で、普段人前で見せないような笑顔をしていた。それもそのはず、遥は食に関してはうるさく、相当なグルメである。旅をしていると自給自足の生活をしなければならない時もあるが、そんな時には自分で味を色々と工夫しているのだ。基本的に食に関心があるから料理も武芸と同じぐらい極めているのだ。

次に遥が食すのは天ぷら、芋の天ぷらを箸で掴んで天ぷらのタレに付けて口に頬張る。

「うむ・・・!旨いのぅー!しかし芋は我が国より劣るか?我が国と比べるとここは暑いから仕方ないのかの?しかし次の海老の天ぷらはどうだ?我が国の高級な海老より美味しいのか?」

恐る恐る天ぷらを口にいれる。「ムシャムシャ」と食す音が聞こえてくる。

「ムムム!?これがこの地方の海老か!我が国とは違う!だが、それがいい!不思議な感じの海老だな!よし、これはもう一度頼むか!」

上機嫌で海老の天ぷらを頼み、遥はワカメと豆腐の入った味噌汁を飲む。

「ううむ、少し薄いな?しかし、これは地方によって全然違うから、薄いのがこの地方での主流の味噌汁なのだな。」

遥は濃い味が好きな為、少し不満なご様子。しかし、この地方の食文化が少し分かったような気がして楽しそうである。
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