世界を旅する武芸少女
取り敢えず敵が現れるまで町を散歩することにした遥は、町をうろうろとしていると活気がある町だと感じた。

先程のシノケンとかいう色黒の防衛隊長の家は寂れていたが、この町の家はとても綺麗で先進的だ。

それもこれも豊かな水のお陰だろう。さしずめこの町は砂漠のオアシスといったところか。

すると遠くから砂煙が上がるのが見える。何か異変があったのか・・・それとも敵なのか。

「す、砂煙が上がっている!」

「奴らだー!奴らが来たぞー!」

町の人々が大声を上げて隠れる。

「どうやら敵というのはアイツらか。さしずめ馬に乗って攻めてきたな。」

すると「遥ちゃん!」と大声で呼ぶ声が聞こえた。

この町で私の名前を知っているのはシノケンしかいない。

「どうした。敵なら私が追い払うぞ!」

「俺も防衛隊長!町の男達も僅かながら参戦してくれたぞ!」

シノケンの後ろに立つ老人含めた男達10人程度は弓矢を持っている。

「弓の心得はあるのか?」

「みんな最近練習してきた程度だ。」

つまり素人に毛が生えたレベルか。

「敵が射程範囲に入ったら一斉射撃をする。その後に動揺した敵に俺が攻めていく。遥ちゃんも弓の心得があるなら援護してもらいたい。」

「いや、私は弓より刀術の方が得意でな。一斉射撃の後に私も攻めにいく。」

「良いのか?奴らはみんな大剣使いの大柄な奴らばかりだぞ」

「シノケン、あんまり私を子供扱いしないでもらいたい。私は恐らくここにいる者の中で一番強いぞ?」

シノケンは遥の言葉を強がりと感じていた。こんな女の子が一人で旅している事を考えるとこの子は自分に凄く自信のある強気な女の子なんだと思っていた。だから、戦いの前に本音を言わずに黙っておいた。

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