世界を旅する武芸少女
「おい、貴様ら。乙女な私の顔を落書きしただけでは飽き足らず、ショボいオッさんに暴力を奮うとはみっともない。貴様らは一斉にかかってこい。私が瞬殺してあげよう。」

遥はいま、武器を宿舎に置いてきている為、素手で戦う事になる。そして、この輩は木製バットにサバイバルナイフを持っている。

ここで、シノケンは遥が素手でどの様に戦うのか実に興味を持っていた。アレだけの戦闘技術を持っている娘だから、どうしてもその戦いぶりに興味を抱いてしまう。

「小娘〜!!落書きされただけで何キレてやがる〜!この俺様と良いことしたくねぇのか〜!」

巨漢の輩は激怒して、遥の腕を掴んで地面に押し付けようとした時である。遥は巨漢の輩に掴まれていた腕の間接を外した。

「んっっ!???イッデェ!!腕がぁ!!!」

この時、遥は勢いよく地面に押し付けようとした輩に力を逆に利用して腕の間接を外した。

「自分より力のある者を倒すなら、その敵が全力を出せない状況に持っていけばいい。私みたいな非力な女性が身を守るにはこれしか無いのさ。」

非力・・・確かに遥はパッと見は華奢な体格で、とても強いとは思えない。しかし、シノケンは剣術以外にも体術にも優れていると確信した。何せ、身のこなし方が普通ではない。それに圧倒的に場馴れしているのだ。

これは普通に女の子として生きていては身に付かない身のこなしと場馴れである。男でもその道を歩まなければ、身に付かないであろう。

「さあ、次はそこのサバイバルナイフを持った男だ。私に傷をつけれると思うなら付けて見るが良い。」

さっきの巨漢の男を倒したせいで、場の空気が変わった。自分のリーダーが倒されたせいで完全に萎縮してしまったサバイバルナイフを持つ輩。恐らく、遥はこの空気を作るために、先に巨漢の輩を倒したのであろう。

そのせいで、この場にいる全ての者が「この女、めっちゃ強ェ!」と思ったのだ。

「クッ・・・!これでも喰らえぇ!」

男は手にするサバイバルナイフを遥に投げつけた。当然遥はサバイバルナイフを素手で掴む。

遥の手からは少し血が出るが、この程度全然痛くないし、全然怖いとも思わない。

「武器を投げるのは良いが一撃で仕留めないと、後が悲惨なのだがな。」

遥は輩の胸ぐらを掴み、背負い投げをする。そして、地面に叩きつけられた輩は「ゲフゥン!」と言い、気絶した。


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