世界を旅する武芸少女
ボロ小屋に入ってみると中はかなり片付けられている。恐らく、北へ向かうほど北風は強くなるし日が沈むのも早いから定期的に小屋の掃除や食料の補充をしているのだろう。

悪くない、ダイト国のこういった配慮は実にいい。恐らく、国の経済が潤っているから出来るんだろうな。私の国は貧乏だからそんな余裕はなかった。

そんな事より、遥は食料は何があるか気になり食料を漁り始めた。

「ほうほう、味噌はあるな。豚肉と鶏肉、野菜もあるし唐辛子もある。鍋があるから味噌鍋が出来るな。水は近くに流れていた川の水を使えば出来るし。米もあるから最後に雑炊も出来るな。うむ・・・では料理を開始するとするか。」

早速、遥は近くの川から水を取り敢えずバケツ二杯分汲んできた。味噌鍋に使う分と米を炊く分である。正直こんなにいらないと思うが、余った分は飲み水にしよう。

次に遥は自分の専用の包丁で肉と野菜を斬る。遥のその包丁捌きはとても華麗で丁寧。綺麗な形で切れました。

ところで1つ残念なのは遥の国にあるゴボウが小屋の食料に無かった・・・というか国を出てからゴボウに出くわした事すらない。遥の国では栄養豊富の食べ物なのだが、他の国では木の根っことか言われており、殆んど見かけることは無いのだ。

そして、味噌を出汁にして適当に野菜や肉を入れて、ぐつぐつと煮込む。おっと・・・忘れてはいけない、煮込むときに唐辛子を少し入れておかねば。



そろそろか・・・?もういいだろう?

遥は蓋を開けて見ると味噌の匂いのする味噌の煮込み鍋の出来上がりだ。

材料は人参と白菜、ネギ、大根、こんにゃくと鶏肉、豚肉である。鶏肉を煮込むのに時間が掛かるがとても美味しい鍋の出来上がり。

「ふふ・・・。魚や牛肉や牡蠣も入れたかったのだが仕方あるまい。寒いときはこの味噌鍋(唐辛子入り)で決まりだな。唐辛子を入れているから発汗作用もあるからダイエット効果もあるから女子の私にピッタリな料理なのだ。」

遥はゴクリと唾を飲み込み鍋に箸を突っ込む。

「さあ、私を楽しませてくれ・・・」
< 61 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop