世界を旅する武芸少女
「ウイチよ、私の戦いでも見たら肩の力が抜けるぞ?だからお前は大丈夫、そこまで悲惨な負けはしない。」

ウイチの戦いは遥の後である。つまり、遥の戦いが終わるまで猶予はあるのだ。それまでにボコボコのギタギタにやられる覚悟をしておけば良いのである。

しかし、流石の遥にもウイチが次勝つのはキツいと感じた。

さっきの勝負が終わって少しウイチの戦いを見たのだが、ウイチのあの身体能力では本当にボッコボコされるだろう。

ガンマンという割にはピストルの弾がなかなか当たらないのだ。普段、止まっている的になら普通に当てることは出来るかもしれないが、それが勝負となると標的は動く。そうなると途端に弾が当たらなくなるのである。

ウイチは接近されると距離を取ろうとするが、一流の拳法家とかだと距離をとる前にやられるだろう。ウイチは今まで同じガンマンとばかり当たっていたから何とかギリギリ勝ってこれたのだ。

時計を見るともうすぐ遥の試合の時間である。遥は席を立ち、会場に向かおうとする。

「ウイチよ、私の戦いぶりを見て勇気を出せ。お前なら酷い負け方などしないし、負けても誰もバカにしたりしない。だから・・・ただ勇気を出すだけで良いんだ。」

「遥ちゃん・・・本当に俺が勝てると思わないんだな。・・・こうなれば本気を出して会場のみんなに俺の勇姿を見せてやる。惨めな負け方などしない!むしろ勝ってやる!」

勝つために気合いを入れ、決戦に備えるウイチ。それと同時に遥の勇姿を見届けようと観客席に行く。
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