世界を旅する武芸少女
試合のゴングと共に敵はアッサリと遥の懐に入って来て遥の着物を掴もうとする。

「なぁっ・・・!?いつの間にっ・・・!!」

敵のあまりの速さに多少動揺して危ないところだが、遥は掴まれる寸前で後方へ素早く下がる。

続けて敵は敵は遥の顔面を目掛けて蹴りを見せる。

ドガッと鈍い音がしたが遥は何とか蹴りを腕でガードをした・・・だが、この蹴りがなかなか重い一撃であった。

「これが無手の戦い方か。荒っぽいな・・・私は野蛮な戦い方が嫌いなんだ。」

「どの顔さらして野蛮な戦い方が嫌いって言うんだい?お前の戦い方も相当荒っぽいと聞いたけどなぁ!?」

開始早々に遥が押されている事に会場の客もざわつく。今大会の優勝候補が無様に無手の男に負けるのかと期待している者もいた。

しかし、遥はそんなざわつきが気に入らなかった。

そこで遥は少し戦い方を変えてみた。敵が続けて蹴りをしてくるのなら後ろに下がったり攻撃を受け止めるのでは無くて、逆に前に出ることにした。

つまり敵が蹴りをしてくる間に相手の懐に入るのだ。

しかし、それもなかなか上手くはいかない。遥は思いっきり肩に蹴りを食らった。懐に入るのは良いけどその分攻撃を食らったら滅茶苦茶痛いのだ。

流石の遥もこれは痛いが、その痛さを我慢して、我慢した分を殺気として敵に返す。

「お前、さっきの蹴りは良かったぞ・・・!」

敵は遥の発する言葉と殺気から恐怖を察して後方へ軽く飛び逃げる。

「こいつ・・・身軽だな。」


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