クールな彼の甘い素顔
助けてくれた彼
「やっと学校終わった~!金曜日のこの瞬間が一番うれしい!
ねえ真緒(マオ)、今から前言ってた期間限定ドーナツ食べにいかない?」
ニカッと白い歯を見せて目の前にやってきたのは、2年になって初めて同じクラスになった、一番仲のよい今井由紀(いまいゆき)。
低めな身長で、毛先がクルンとカールした天然パーマのショートカットがよく似合っている人懐っこくて元気いっぱいの子。
「ドーナツ行きたいけど、今日お手伝いなんだ~!来週行こうよ!」
今日行けないのは残念だけど、そう提案するわたし、夏井真緒(なつい)。
お手伝いというのは、アルバイトのこと。
うちの高校は基本的にアルバイトが禁止で、特別な理由がある生徒だけ、許可がおりる。
でも、許可がおりたかと言って、アルバイトをしていることを他の生徒に話すのは禁止。
おそらく進学校であるこの高校のメンツの問題だと思われる。
だからバレないように“お手伝い”って呼んでる。
わたしがアルバイトをしていることを知っているのは、由紀だけだ。
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