クールな彼の甘い素顔
「...べつに。
お前もはやく打刻打てば」
彼はそう言って、キッチン担当の人は身につけなければならない帽子とマスクを取ったーー
「...っ!?!?」
次の瞬間、わたしはこれでもかと言うほど目を見開いた。
だって、
だって、
目の前に立っているのは
同じクラスの三上翔くんだったからーー。
「み、かみく...!?!?」
どうして三上くんがここに!?
三上くんがここで働いているなんて、全く知らなかった!!
いまだに開いた口がしまらないわたしに、
彼は「じゃ」と一言言うと、
荷物をもってバックヤードから外へ出ていった。
風のように去っていき、
さっきまで三上くんがここにいたことも、
わたしを助けてくれたことも幻な気がしてきたのだった。