クールな彼の甘い素顔
『おはよ』
彼の声がちゃんと耳に届いて、なぜか安心して涙が込み上げる。
「翔くん、ごめん...。
すっごくしんどくて、熱はかったら38度で......今日行けそうにない...」
自分でもびっくりするぐらい、スラスラとうそをつく。
『え、...大丈夫か?』
「うん、大丈夫...」
『凌とふたりでお見舞いに...』
「きょ、今日お母さん家にいるから、それはきびしい...かも」
『そうか...、ゆっくり休めよ、広島はまた次にな。夜、電話する』
「うん...ありがとう」
電話が切れたあと、
プープーと鳴る機械音を聞きながらまたぼうっとして。
動きたくなくて、布団に潜り込むと、
夕べ一睡もできなかったおかげで、気づいたら眠りについていた。