クールな彼の甘い素顔
わたしは固まってその場から動けず、声も出せなかった。
彼は目線だけ動かして、わたしと智也くんを一度だけ交互に見て。
「...嘘ついて他の男と遊んで、楽しいかよ」
それだけ吐き捨てて、
わたしに背を向け店を去っていった。
「お兄ちゃんどうしたの?待ってよぉ~」
凌くんは彼の後ろ姿を追いかける。
わたしも、はやく追いかけなきゃいけないのに。
理由を説明しなければいけないのに。
足がすくんで、立ち上がることすらできないーー。
翔くん、傷ついてた。
彼は普段からあまり表情豊かではないが、
わたしにはわかる。
めちゃくちゃ傷ついてた。
わたしが傷つけた.........。