クールな彼の甘い素顔
「...真緒さんの彼氏って、キッチンの三上さんだったんですね...」
目の前に座っている智也くんが、状況を把握したようにつぶやいた。
わたしはコクンと小さくうなずく。
「わたし...帰るね。
こんな雰囲気になっちゃってごめんなさい。
それじゃあーー」
さっきは全く立ち上がれなかったくせに、わたしの足は逃げるようにサッと立ってーー
「真緒さんを泣かせたのは、三上さんですか?」
智也くんはまっすぐな目で突然そう尋ねてきた。
「ちがうよ。
これは、わたしが勝手に泣いたの」
彼にちゃんと相談もせず、
彼のことを信じられずに勝手に不安と劣等感に見舞われてーー。