クールな彼の甘い素顔
ガチャ...
数分後、音を立てて開いた扉から出てきた人影が、彼ということは反射的にわかった。
だって、翔くんなら、何十メートル先にいたってそれが後ろ姿だって絶対見間違えない。
彼はわたしの姿に気づいたのに、まるで見えなかったかのようにわたしの横を素通りした...。
胸がズキンと音をたてる。
「翔くん待って...!」
わたしは彼を追いかける。
彼はわたしよりはるかに歩幅がでかいから、わたしは早足でないと追い付けない。