クールな彼の甘い素顔
翔くんが怒った理由を、わたしはずっと考えていた。
そしてたどり着いた答え。
一言で怒った、と言っても、わたしの考えが正しかったら、そのなかには悲しさや呆れも含まれているだろう。
翔くんは......
茅さんの言葉によって簡単に心を動かされたわたしに盛大なため息をついたんだ。
だって、もしわたしのことをもう好きでなくなってたら、あのときに言っただろう。
わたしは、仲直りの方法をまちがえた。
あんなの、仲直りするための言葉じゃなかった。
“翔くんを信じてる”
茅さんになんて惑わされず、そう伝えなければいけなかったのに...。
「...こんな自意識過剰な結論でいいのかな」
わたしは卵焼きを飲み込んでから、ポツリとつぶやいた。
「真緒、まだそんなこと言ってたら、わたしもいい加減怒るよ。
...カレはきっと、それくらい自信を持ってほしかったんじゃないかな。
真緒はもっと、自分の気持ちに素直になっていいんだよ」
優しく微笑む由紀に、わたしは思わず泣きそうになりながらゆっくりうなずく。
「ーー三上~!
2年の女子が呼んでる」
そのとき、クラスの男子が教室の出入り口で翔くんの名を呼んだ。