クールな彼の甘い素顔
「...だからね、夏井さんに言ったことは、全部ただの八つ当たり。
でも、もしかしたら夏井さんが翔のことあきらめるかもって期待もした。
...たとえそうなったとしても、翔がきっとそうさせないだろうけど」
茅さんは遠くを見つめながら言った。
「夏井さん。
嫌なことたくさん言って、本当にごめんなさい」
深く頭を下げられ、わたしは戸惑う。
「か、顔あげて...!
もう...気にしてないから!」
茅さんが翔くんを手離したくなかった理由は、わたしもよくわかるから。
「今から...翔のところ行くの?」
「な、なんでわかる、の?」
「なんとなく!」
茅さんはそれからわたしを駅まで送ってくれた。