クールな彼の甘い素顔




「翔くん、わたし、変じゃないっ?」



慌てた様子のわたしの質問に、ベッドに腰かけた翔くんは「大丈夫だって」と平気そうに言う。



「大丈夫じゃないよ!だってわたし、初めてお会いするのに...っ」



「真緒ちゃんっ!!来てるの~!!!」



わたしはまだ鏡でチェックできていないのに、バーン!!と部屋の扉を開けたのは...もちろん、凌くんで。



「真緒ちゃんと言うのはどの子かな?」



凌くんの後ろにひょっこり現れたのは、

翔くんと同じくらい背の高いダンディーなおじさまで。



「はじめましてっ、翔くんとお付き合いさせてもらってる夏井真緒と申します」



わたしはペコリっと頭を下げてその人にご挨拶する。



翔くんと、凌くんの、お父さん。



翔くんと付き合いはじめて来週で9ヶ月が経とうとしているのに、

お父様には一度もお会いしたことがなかった。


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