クールな彼の甘い素顔
「っいや、なんでもないです!!
あ、真緒さん、髪の毛になんかついてますよ?」
「え、どこ?」
わたしは右側の髪の毛をワサワサとした。
「反対ですよっ」
智也くんはわたしの左側の髪の毛に手を伸ばしてついていたゴミを取ってくれた。
「ありがとっ」
「真緒さん、髪サラッサラ!俺今超びっくりしたんですけど!!」
彼は心底驚いたようにそう言って、もう一度わたしの髪の毛に手を伸ばした。
「バイトのとき、いっつも綺麗だなって思ってたんです!!
あ、か、髪がですよ!?」
なんて慌てたように言う彼に、わたしは「知ってるよ!」と笑う。
褒められて悪い気はしないし、むしろうれしい。
がんばって毎日お手入れしてよかったな。
「ーー邪魔」
そのとき智也くんの後ろに智也くんより10センチほど高い人影が出没した。
「み、三上さん...!」
智也くんはぎょっとしてわたしの髪から手を離し、急いで翔くんに道をゆずる。
「じ、じゃあ、僕はこれで!」
そう言ってその場を去ろうとする彼に。
「おい、一年」
翔くんは自分の席に進む足を止めて振り返り。
「真緒に気安く触んな」
智也くんを軽くにらみそれだけ言ってまた足を進めて自分の席についていった。
冷や汗をかきそうになっている智也くんと、
ポポポッと頬がピンクになるわたし。
それを聞いていたクラスメイトはザワザワとしだす。
そのあと「昨日もしかしてって思ったんだけど、もしかして三上くんと付き合ってるの?」と何人かのクラスメイトに聞かれ、
「うん」と答えると、
それはあっという間に学年中、いや、学校中へと広まった。