クールな彼の甘い素顔
「おい、みんなー!
大野さんの紫の長財布見てないかー!?」
店長はキッチンへの扉を開けて、そこにいるみんなに大きな声で投げかける。
...そのとき、一人の人が声をあげた。
「...俺、三上がロッカーあさってて、紫の財布っぽいの持ってたの見たんすけど」
その場の空気が一気にざわついて。
店長は驚いた顔をして三上くんに目を向けた。
キッチンとは少し離れたパイプイスに座っている三上くんの耳には“一人の人”の言葉が聞こえていなかったみたいで、
店長の視線にわかっていないといった表情をしている。