クールな彼の甘い素顔
「あの、実は......オレ、見ました。
竹本が、大野さんのカバンから財布取って、三上のカバンに入れてるの...。
オレそのとき更衣室にいて、竹本はオレのこと気づいてなくて。
竹本が見るからに怪しそうだったんで、カーテンの隙間から見たんすよ...」
その後、そう名乗り出てくれた男の先輩のおかげで、三上くんの身の潔白は完全に証明された。
そして、犯人の竹本さんはクビになり、
二度とこのファミレスに現れることはなかった。
その日の夜。
わたしは21時にバイトを終え、外へ出ると、
そこには一時間前に退勤したはずの彼がいた。
「...三上くん?」
わたしに気づいた彼は、
わたしにゆっくりと近づいて。
「...今日、かばってくれてありがとな」
とろけるような微笑みを、わたしに向けた。
息が止まるかと思った。