クールな彼の甘い素顔
「あれ?翔兄ちゃんがいない」
男の子は店内全体を見渡してそう呟いた。
翔兄ちゃんって......三上くん!?
てことは、この男の子、三上くんの弟!?
名前はたしか、凌くん。
「もしかして、三上翔くんに用事があるのかな?」
「うん、そうだよ!
あのね、翔兄ちゃん、ケータイ電話家に忘れてたの。
だからね、届けにきたんだよ!」
凌くんはそう言ってポケットに入っているケータイ電話を出してわたしに見せた。
なるほど、そういうことだったんだ。
小さな男の子1人で来店することなんてないから、びっくりしちゃった。
「凌くんだよね?」
「うん、僕は凌だよ。
お姉ちゃん、どうして僕の名前知ってるの?」
きょとんとした瞳の凌くんを、わたしはホールからキッチンへの出入口のそばに連れてきた。