クールな彼の甘い素顔
人一人分の距離をあけて彼の隣を歩くので精いっぱいだったのに。
これ以上距離を縮めるつもりなんてなかったのに。
わたしの肩と彼の腕が触れるたび、
わたしの体温はぐんと上昇して。
雨音なんて聞こえてこなくて、
彼のこと以外、なにも考えられなくなってしまう。
こんなにも彼が近くにいて、
頭がパンクしてしまいそう......。
このままずっと家に着かないんじゃないか、なんてそんな気さえしてきた。
もう、ずっとこのままでいたい...。
そう思うけれど、あっけなくこの時間は終わってしまう。
「...家、ここであってるよな」
「うん。...ありがとう」
「...俺のほうが感謝してる。
...夏井が、同じバイト先でよかった」
そんなことを言われたら、
もう、我慢できなくなる。
この胸の高鳴りも
この感情も、
雨に流されてしまえばよかったのに。
だけど、
もうそんなことできない。
抑えられないこの気持ち。
.........わたしは三上くんのことが好きだ。
わたしの心臓のドキドキは、
いつまで経っても鳴りやまなかった。