クールな彼の甘い素顔




「そんなの聞いてないわよ!

自分の都合のいいように記憶をすり替えないでくれるかしら!?」



「...っ!?」



わたしは新人で、長年働いている中西さんにこんなことを言われたら、もう謝るしかできない。



このバイトをはじめてからこんな理不尽なことを言われるのははじめてで、思わず泣きそうになる。



「す、すみま......」



中西さんに頭を下げようとしたそのとき。



「記憶すり替えてんのはあんただろ」




中西さんの奥にいた背の高い男の人が、

中西さんに向かってそう言った。



「ここにいる全員、夏井があんたに卵のこと言ってるの聞いてんだよ。

自分のミスを人のせいにしてんじゃねえよ」



男の人の低い声でキッチン内が一瞬にしてシンとなった。



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