クールな彼の甘い素顔
「べ、べつに夏井さんのせいにしようとしたわけじゃ...っ、
こ、高校生は22時まででしょ?
はやくあがれば!?」
中西さんはしどろもどろになりながらキッチンの奥のほうへと行ってしまった。
怖かった......。
いまだに足が震えそうだ。
「あ、あのっ、ありがとうござ...」
助けてくれた男の人にお礼を言おうとしたら、
彼はキッチンからバックヤードへと入っていった。
時計を見るともう22時を迎えていたので、
わたしも彼に次いでバックヤードへと進んだ。
パソコンで退勤の打刻を打っている彼。
どうやら彼も22時あがりだったようだ。
ということは、さっきの中西さんの“高校生は22時まで”というのは、わたしに言ったのだと思ったけど、わたしと彼両方に言ったんだ。
「さ、さっきはありがとうございました...!」
彼の背中にペコリの頭を下げる。
なんて優しい人なんだろう。