クールな彼の甘い素顔
「かっこよくてモテモテで、頭もよくて運動もできて......なのに気取ってない。
弟想いでめちゃくちゃ優しいし、間違ってることはちゃんと怒るし、困ってるときは助けてくれて、周りを見て仕事ができる。
......ほんと完璧すぎて、
わたしとは別世界の人だなってずっと思ってるの」
「......」
...なんて、自分で言ってて悲しくなってきちゃった。
バチバチーー...ぽとっ
そのときわたしの線香花火のオレンジの玉が地面に小さな音をたてて落ちた。
「あ...落ちちゃった」
線香花火って綺麗だけど、落ちると少し儚い。
その二秒後に隣にいる彼の線香花火も消えて、
それと同時に辺りがふっと暗くなって。
「三上くんのも消えちゃっ......」
顔をあげると彼の綺麗な顔が目の前にあり、はっきりとわたしの瞳に映って。
柔らかく生温かいなにかが
わたしの唇にゆっくりと触れた。
わたしの思考は停止して、
それが彼の唇だって気づいたのは一体何秒後だっただろう。
「...これでも完璧かよ」
唇を離した彼はそう言って立ち上がった。
わたしは時が止まった気がした。