恋が始まる
2年間、私は大勢の生徒に埋もれながら、教壇に立つ先生への憧れを強めていった。
もちろん、ただ憧れるだけの関係だったのだが、それが少し変わったのが今年の3月末のこと。

予備校で物理を教わっていた西先生に、ベトナム旅行に誘われた。

西先生は、大の苦手だった物理を一から叩き込んでくれた先生。
理系としてネックとなる物理を克服すべく、私は子分のように西先生に付きまとい、時には泣かされながら勉強していた。

西先生と日野先生は、同じ有名男子校の卒業生らしく、その繋がりで仲がいい。

私が泣きながら西先生に食らいついていると、隣の席からひょいと頭をだした日野先生が、
「あー、また泣かされてんのかー。けど、ええでぇ。泣かすほど熱心に教えてくれんのなんて、西くらいやろー?」
と軽く頭を撫でてくれたり。
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