恋が始まる
そして最終日、帰りの飛行機を待つ間、ベンチで日野先生と二人になったタイミングで連絡先を聞いた。

「ええけど。連絡先交換したら、もう先生やのーなってまうよ?」

特に嫌がるわけでもなくスマホを操作しながら言う先生。
よく意味が分からずにじっと先生の顔を見つめていたら、イタズラっぽく笑って続けた。

「元先生と元生徒、じゃなくて、男と女になるってこと。極端な話、おもんねー、って思ったら返事もせんかもしれへんよ?」

言葉とは裏腹に先生の目は優しくて。
私はただ、2年間の淡い恋心に、この5日でずっと深まった恋心に気付かれているとだけ悟って、それならもう迷うこともないと頷いた。
< 4 / 11 >

この作品をシェア

pagetop