恋が始まる
それが正しかったのかはいまだに分からない。

こうして今先生の部屋にいるってことは、正しかったとも思える。

だけど、あれから約半年、先生から私と同じ種類の感情を感じ取ったことは無い。


先生が出掛けていって15分。もう帰ってくるかな。あ、帰って来た。

「先生、おかえりなさい」

「ただいま。…てかさ、その‘先生’ってのやめてや。なんか悪いことしてるみたい」

悪いこと…。

「そうですね。おかえりなさい、隼斗さん」

「ん、ええ子」

頭を撫でながら、コンビニのビニール袋を渡される。

ビールと、あ、アイス。

「ええ子に留守番できたから、アイス食べー?期間限定やで、好きやろ。あ、あと俺のビールとコップちょうだい」

もうソファでくつろぎながら頭だけ振り返って言う。

その私服でかなりオフな感じがいまだに慣れない。ドキドキする。
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