恋が始まる
私の額がとんと先生の鎖骨に当たる。

「葵…ええか?」

耳元の空気が振動する。脳みそが、揺れる。

「はい…。でも、私、初めてで…」

ふわり、と抱き上げられ、視界が柔らかく上下する。

「初めてが、こんなおっさんじゃ嫌?」

「そんな…! ……先生だったら…嬉しいで…す」

寝室のベッドに優しく降ろされる。一瞬で、先生の温かい匂いに包まれた。

「先生ちゃうやろ?…隼斗」

「隼斗さ…んんっ」

荒っぽく塞がれた唇。産まれて初めてのそれは、熱くて柔らかかった。
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