終点は異世界でした。
はしゃぎすぎたのだろうか、気をつけて行動しなければと背筋をしゃんと伸ばした。
「……俺は、ただ手助けをすればいいだけ。それだけだーー」
でもブツブツ何か言い始めたアルスに、バレないようにクスリと笑った。
「ふう……さてと。カンナ、探す前に少しだけ観光しよう」
「観光……?私に取っては既に観光のようなものなんですけどね」
異世界に来ている時点で、身の回りのもの全てが新しい。
それで十分に観光と呼べていたが、それに加えて本格的な観光までもしてもいいのだろうか。
「まあそうかもしれないけど、とりあえず俺に案内させて」
「それはもちろん!よろしくお願いします!」
「じゃあ、まずは市場に行こう」
慣れた足取りで歩くアルスに、何故か心強く思えた。