終点は異世界でした。



どうしようかと迷っていると、改札口横の窓口がゆっくりと開いた。


そこから顔を見せた駅員さんの顔に、またしても身構える。


一件はたから見たら、愛想の良さそうな青年だ。


だがよく見れば頬から首に向かって続く蔦模様の紺色の刺青に、サファイアの様な綺麗な瞳と少し尖った耳を見ればこの人も私と同じ人間ではないことを示していた。


帽子を被っているから気がつかなかったが、帽子から覗くように出ている髪の色も銀髪だ。


なんて声をかけていいのか分からず、目を泳がせては考えるふりをする。


一体私はどこに迷い込んでしまったのだろう。


こんなキャストさんのような人がいるような駅など、聞いたことも見たこともない。



「どうかした?もしかして、乗り過ごして終点のここまで来ちゃった、とか?」



私の顔見てそう言う駅員さんの言葉に、力強く頷いた。


終点はまさかの見知らぬ土地で、こんな、こんなファンタジーチックな場所だと誰が想像できるだろうか。






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