終点は異世界でした。
「アルス……?」
「ちゃんと、帰れるように手助けするから。……安心して……ね」
今までなら顔を向けてくれるのに、今回はどこかとおくを見つめて言った。
どうしたのだろうと考えるよりも先に、アルスがゆっくりと立ち上がった。
「さて、と!探しに行こうか、カンナの落し物」
「は、はい」
「今更だけど、その敬語使うのなしね!なんか距離感を感じるからさ。年も近そうだし、畏まらなくてかいいよ?」
首を傾け、念を押すかのように言ってくるアルスはいつも通りだ。
ここでまた遠慮していくのもなんかもったいない気がして、私は一つ頷いた。