終点は異世界でした。
揺れにご注意ください。
市場から離れるように歩いていくと、背を伸ばす建物達と行き交う路面電車は、少しだけ私の世界に似ていた。
それでも動いている仕組みは、魔力なのだから不思議だ。
バス停みたいなそんな場所にアルスと二人並んで、路面電車を待った。
「アルスは普段、駅で働いてるの?」
今まで踏み込んだ質問をしてなかったから、なんとなくアルスのことを聞きたくなった。
「うん。父さんも昔同じように働いてて、その背中を追って、って感じでね」
「家族は今どこにいるの?」
「亡くなった」
思いもよらない答えに、私の頭は回らなかった。