終点は異世界でした。
ちょっと待っててね、と言って駅員さんは窓口を閉めて立ち上がった。
すると扉の開く音が聞こえてきたかと思えば、先程の駅員さんが私の前までスっとやって来た。
「切符を拝見しま……って、あれ?」
制服のポケットから切符に穴を開けるための改札挾を取り出したものの、私の顔を見て拍子抜けた顔をした。
「す、すみません、私切符じゃなくて、その、ICカードなんですけど……」
固まった駅員さんの顔を見て、恐る恐る申し出ると改札挾を閉まって辺りを見渡したかと思えば手招きされる。
一歩駅員さんの元へと近づくように踏み込むと、いきなり顔を近づけてきた。
すると、駅員さんの頬に刻まれた刺青がにゅるりと意思を持つかのように動いた。