終点は異世界でした。
すると、路面電車が近づいてくるのが見えた。
線路はあるのに、走る音はいつも聞く電車の音とは全く違った。
朱と白のシンプルな車両だけれど、そのシンプルさが目を引いた。
「アルス、あれでいいんだよ……ね」
電車を見てから、アルスの顔を見たらその顔の赤さが同じに見えてしまう程、尖った耳まで真っ赤に染まっていた。
頬の刺青がドクドクと鼓動を打つように動いている。
「ア、アルス?!具合い悪いの?!」
「気にしないで!さあ、乗るよ!!」
いつの間にか目の前に止まっていた路面電車に引っ張られて乗り込んだ。
何があったのか分からないが、おかしなアルスだ。
大きく深呼吸をして落ち着かせているけれど、私の右手を握るその手は力が入っている。