終点は異世界でした。
声も出ずに驚いていると、駅員さんは一つ小さく笑った。
何がどうなっているのか全く状況が掴めていない中で、駅員さんは元の位置へと戻るかのように姿勢を正した。
「驚いた。こんな田舎にトリプラーが来るなんて。君この世界の人じゃないよね。どこから来たの?」
やはりここは日本でもなく、別世界ということらしい。
こんな短時間で状況を掴んだ駅員さんに、あっぱれと心から言いたい気持ちが溢れてきそうになるが今は帰る手段を見つける方が先だ。
キュッと胸元を握りしめながら、駅員さんを真っ直ぐに見つめて答えた。
「日本です。帰る方法を教えてください」
焦る気持ちを抑えながらも、ハッキリとそう告げると駅員さんは顎に手を添えた。
少しの間考え事をするかのように上を見つめていたが、一つ息をついたかと思えば優しい笑顔を向けてきた。
「立ち話もあれだし、中入ろっか。行く宛もないんだよね?」
その質問に頷くと、先程の扉の方へと歩き始める駅員さんに戸惑いながらも後を追った。