終点は異世界でした。
「そんな中で国と国のぶつかり合いが激しくなって、戦争が起こりました。働く男は全て兵士として駆り出されてしまいました。アルの保護する者がいないとなって、友人である私がその役割を引き受けました」
「それで……お父さんは戦争で……」
「はい。強力な爆破魔法によって跡形もなくなったそうです。その知らせが届いたのは、アルが8歳になった時でした」
テーラさんの言葉に全身に衝撃が走ったような気がした。
唯一の家族が一瞬にして消えてしまったなどと、幼い子供には理解するどころか受け入れることすらできないはず。
そんな中でもアルスは乗り越えて、お父さんの背中を追ったんだ。
やっぱりアルスは強くて、かっこいいと心からそう思った。
「それからと言うもの、アルが独り立ちするまで私と共にここで一緒に暮らしてきました。俺、何かを見つけるためにここを出る、なんて言い出した日には本当の親のように巣立ちが寂しく思えました」
「それで二人は仲が良かったんですね」
「はい〜時々顔を見せてくれては少しほっとします」
アルスの周りには素敵な人がいる、だからきっとここまでこれたんだろうなと感じながらテーラさんに笑顔を向けた。