終点は異世界でした。
アルスはきっとここで様々な思いを抱えながら歩んできた。
悲しみだったり喜びだったり、そして幸せだったり。
彼なりにもがきながら必死に前へ前へと進んでいった、そう思うと自然と涙が溢れた。
「カ、カンナさん?!どこか具合でも?!」
「違うんです。ただ……胸が熱くて」
ひたすら前へと進むことは誰しもが苦しみを通り抜けなければならないこと、それでも前に進むのには幸せが待っていると信じているから。
きっとアルスもお父さんの死を受け入れて、その分自分が幸せになってみせるとそう思ったはず。
私も、そんなアルスを見習わなきゃ。
何が正解かはやってみなきゃ分からない、だから自分を信じて頑張ってみよう。
自分の道を見つけられると言ってくれたアルスを信じて。
「カンナさん。今の話はアルには内緒でお願いしますね。私とカンナさんの女の子だけの秘密で〜」
「はい!」
一粒の涙を流して、ゆっくりと立ち上がり私を待つアルスの元へと足を動かした。