終点は異世界でした。
車内での飲酒はお断りします。
もう少し長い時間教会で過ごしていたかったけれど、アルスはまだ連れて行きたい場所があるからと教会を後にすることになった。
『大丈夫です。あなたならきっと探し出せます。それと……一度これと決めたら絶対変えないので、覚悟しててくださいね』
去り際にテーラさんに耳打ちされたその言葉の意味が分からずに、考えながら日が傾きかけた世界の中街灯が街を照らし出す。
そっと繋がれている右手を見つめながら、凛とした表情を見せるアルスの顔を盗み見た。
改めて見ると整ったその顔に、今更ながらドキリとする。
異世界人は顔もいい上に、性格もいいというのにどうして争いごとが起こってしまうのかが不思議でしょうがない。
ドキドキする心臓を抑えながら、ゆっくりと変わっていく景色を眺めた。
こうでもしなきゃまた意識してしまうし、なんか負けた気持ちになる。
勝ち負けなんていつ誰が決めたことでもないのに、変な感情が渦巻いては消えてくれない。