終点は異世界でした。
「仕方ない……開いてる店に入るしかないか。ごめんね、カンナ」
「ううん、平気」
「にしても、女将さんが店を閉めるなんてよっぽどの事があった時にしか閉めないのに……」
アルスと共に心配しながらも、開いている店へと向かう。
言い方は悪いが、輩の悪そうなおじさん達がお酒を交わしながらガハガハと笑ってはお行儀悪く食い散らかすような所が多かった。
お店の中はそんな雰囲気じゃないのに……違和感がある。
ーーカラン、と昼間聞いたあの音が聞こえたような気がして後ろを振り返った。
「カンナ?」
「あ、ごめん」
何もないように振る舞いながら、胸のざわめきを落ち着かせる。
昼間から何かに敏感に、そして何かに怯えてる自分がいる。