終点は異世界でした。
体を震わせていると、知らない大きな体のおじさんの顔が目の前にあった。
「こりゃあ珍しい、黒髪のトリプラーじゃねぇか」
「おい、見世物じゃない。こっちは食事中だぞ」
アルスが立ち上がって、おじさんの体を私から引き離した。
私とおじさんの間に入るようにアルスが立つと、おじさんはジョッキに入ったお酒を一気に飲み干した。
「っぷは!王子様気取りかぁ??笑わせてくれるなあ!優雅に食事でもしたかったらそいつを置いて立ち去れ」
「断る。一緒に出て行かせてもらう」
「頭ぁー!そいつ確かゼーサンの息子ですよ」
「ゼーサンの?ああ、あのイカれた野郎の息子か」
いつの間にか店中の客達が私達に注目しては、いやらしい目で見ていた。