終点は異世界でした。
アルスをジロジロと上から下まで見つめたおじさんは、ふんと鼻で笑った。
「あいつの血を受け継いでいるだけあって、お前もどうせイカれてんだろ。あの魔法ヲタクには反吐が出るぜ」
シュッと風を切る音が聞こえた、そう頭で認識した時にはもうおじさんはそこにはいなかった。
その場でしゃがみ込むおじさんの息が乱れている。
何が起こったのか分からずにいると、店の男達が一斉に構えた。
「父を侮辱した罰だ」
「ぐおっ……」
「この場でやり合うつもりはない。ただこいつみたいになりたい奴がいたらーー表に出ろ」
聞いたこともないアルスの低い声に体が竦んだ。
舌打ちが聞こえたかと思えば、男達は構えるのをやめた。
「カンナ、一先ずここを出よう」
そう言われて力の入らない体に喝を入れて、なんとか立ち上がる。